口やのどの症状
口やのどの症状
のどが炎症を起こすと神経が刺激され、痛みを感じます。のどの炎症には、のどの粘膜が腫れた咽頭炎・扁桃腺が腫れた扁桃炎・扁桃のまわりに膿がたまった扁桃周囲膿瘍・のどの奥の喉頭が腫れた喉頭炎・喉頭の入口にある喉頭蓋が腫れた急性喉頭蓋(がい)炎などがあります。急性喉頭蓋炎は強く腫れると気道をふさぎ呼吸困難になることがあるので注意が必要です。のどに痛みがあり、呼吸がつらいと感じたら直ちに耳鼻咽喉科医を受診してください。小児に多い病気には溶連菌感染症、ヘルパンギーナや手足口病、プール熱などのウイルスによるものや発熱や典型的には2~5歳に発現する周期熱症候群であり、3~6日続く発熱発作、咽頭炎、アフタ性潰瘍およびリンパ節腫脹を特徴とするPFAPA症候群などがあります。成人では溶連菌感染症や伝染性単核球症(EBウィルス)などがあります。
のどに何かがひっかかっている感じ、痰がこびりついている感じ、のどが狭くなった感じ、のどが押さえつけられる感じなど、のどに違和感を訴える方はとても多いです。
原因も様々ではっきりしないことも多いです。咽喉頭の病気、鼻副鼻腔の病気、甲状腺の病気、頸部の病気、食道の病気など、体の一部分に異常を認める場合の他、全身の病気(貧血、自律神経失調症、更年期障害、糖尿病、精神疾患など)の一症状としてのどに違和感を認めることがあります。アレルギー性鼻炎、咽頭炎や喉頭炎といった感染症、胃食道逆流症などが原因であることが多いですが、喉頭がんや咽頭がんの初期症状の場合もあります。
診察や検査で症状の原因となる異常を認めないことも多く、咽喉頭異常感症と呼ばれます。
息がしづらいという症状は、のど、気管、肺、心臓、精神的な問題など様々な原因によって起こります。実際に息がしづらいときは生命にかかわることもあるので、速やかな処置が必要ですが、もし余裕があれば、まず、本当に息がしにくいのか、あるいは息ができないのか、それともしにくい気がするだけなのかを区別することが大事です。ゆっくり深呼吸してみて、楽に息を吸ったり吐いたりすることができれば、精神的な問題も原因として考えられます。しかし、ぜいぜいやヒューヒューといった音がする、さらに声もかれている、むせるなどの症状がともなっているときは、空気の通り道が何らかの原因で狭くなっている可能性があるので、原因を調べて対応しなければなりません。特に食事を摂れないほどの強い痛みをのどに感じる場合は、急性喉頭蓋(がい)炎や扁桃周囲膿瘍の可能性が、誰が聞いても分かる強い声がれを伴う場合は、喉頭がんや下咽頭がんの可能性があります。
声のかれることを嗄声と言います。代表的な病気はかぜにともなう急性喉頭炎ですが、この場合、声のかれは病気の改善とともに良くなります。しかし声帯の下から気管が腫れた場合は呼吸管理が必要となる場合があります。口の中に音がこもっているように聞こえる含み声は急性喉頭蓋(がい)炎や扁桃周囲膿瘍など、のどに強い炎症を伴う病気を疑う必要があります。声のかれが長い期間にわたって続く場合には、声帯ポリープや声帯結節、喉頭がんや下咽頭がん、声帯麻痺(反回神経麻痺)などを疑う必要があります。
咳嗽は湿性咳嗽と乾性咳嗽に分けられ、湿性咳嗽は気道内の分泌物などの異物を体外へ 排泄するための生体防御反応による生理的咳嗽で、気道の過分泌の制御や分泌物の性状を正常化することによって症状が改善します。咳受容体の感受性はほぼ正常であることから、気道内分泌物による咳受容体の過剰な刺激によって咳嗽が誘発されると考えられています。乾性咳嗽は気道内分泌物による咳受容体の直接的な刺激によらない咳嗽で、咳嗽のみが起こり苦痛となる病的咳嗽に分類され、治療により抑制することが必要とされています。
長期間続く咳は慢性咳嗽と呼ばれ、咳喘息(乾性咳嗽)、アトピー咳嗽(乾性咳嗽) 及び副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽)が三大原因疾患と考えられています。これら以外に胃食道逆流による咳嗽(乾性咳嗽)、降圧薬による咳嗽(乾性咳嗽)、後鼻漏症候群 (欧米では乾性咳嗽)、喉頭アレルギー(乾性咳嗽)、心因性・習慣性咳嗽(乾性咳嗽)などもあります。
口から出たものに混じる血は、いろいろなところから出血している可能性があります。鼻、口の中(歯ぐき・舌など)、のど、食道などの消化器、肺などの呼吸器、いずれから出血しても痰に血が混じります。血をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいると出血が止まりにくくなり、痰に血がまじりやすくなります。
耳鼻科では鼻血が出ていないか、口の中から出血していないか、のどの奥から出血していないか、また鼻や口、のどにがんがないかなどを中心に調べます。耳鼻科領域に何も異常がなければ、内科の先生に首から下を調べてもらうことになります。
咽頭異物は異物の80-90%は魚骨によるものとされていて、約90%は口蓋扁桃や舌扁桃などの中咽頭に認められることが多いとされています。民間療法で「ご飯を丸のみする方法」で症状が緩和されることもありますが、異物が脱落したのか迷入したのか判断が難しくなるのでお勧めしません。のどの異物感や痛みが続く場合には比較的早く受診することをお勧めします。骨が20mmを超えるような場合には咽頭腔外に到達することもあります。(異物の0.4-2.6%程度)
食べ物や飲み物は、のどから食道に入り、胃に送り込まれます。飲み込めないという症状がでるときは、通り道の狭窄や送り込む筋肉などの働きの低下が考えられます。炎症により粘膜の腫脹で飲み込めないことがありますが、注意する必要があるのは腫瘍や癌により通り道が狭くなる状態です。咽頭がんや喉頭がん、食道がんなどの有無をしっかり確認する必要があります。
むせるということは、食道、胃に入るはずの飲食物が喉頭に間違ってはいってしまうことで気管、気管支に入り、その刺激で咳が出る状態です(誤嚥:ごえん)。この場合も悪性腫瘍の存在や、声帯の運動障害の有無などをチェックする必要があります。高齢者で飲み込みの機能が低下し、誤嚥を繰り返すと重篤な肺炎になることもあります。
いびきは上気道で発生する呼吸音(主に吸気時に発生)で狭窄した上気道により咽頭の軟組織の振動することで起きます。いびきは睡眠時無呼吸につながる睡眠呼吸障害の一番初期の段階と考えられています。原因は顎が小さいことや口蓋垂の長さ、鼻や咽頭の形態異常や狭窄、肥満などとされています。子供についてはアデノイド増殖症、口蓋扁桃の肥大、アレルギー性鼻炎(花粉症も含む)などによる鼻づまりなどが挙げられますが、肥満も関与する場合もあります。その為、耳鼻科では鼻中隔弯曲症やアレルギー鼻炎などによる鼻疾患が関係する鼾には鼻に対する治療が有効とされています。睡眠時無呼吸を伴う鼾にはCPAP療法の睡眠時無呼吸による治療が有効となりますが、当院では治療検査共に行っておりませんので、近隣の睡眠外来をお勧めいたします。そのほかの原因による鼾の場合には減量やマウスピース、鼾専門外来での外科的手術が有効なことがあります。
味がしないことを味覚障害と言います。原因は薬剤や亜鉛不足、心因性、全身疾患性によるもの、原因不明など多岐にわたります。原因が明確な場合を除き、亜鉛補充する治療以外にエビデンスを持つ治療はありません。しかしながら内服だけでは対応が難しいこともしばしばあります。亜鉛補充療法以外には不足している物質の補充を行ったり、近年心因性によるケースも増えてきており、その場合には抗不安薬などを使用する場合や心療内科に相談して改善する事例もあるとのことです。また加齢による味覚障害も報告されており、その場合比較的甘みは保たれやすいと言われています。